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A型肝炎ウイルス

 ピコルナウイルス科のへパトウイルス属に分類されるウイルス。ウイルス遺伝子はRNAからなる。エンベロープをもたない正20面体粒子であり、熱抵抗性をもつ。本ウイルスをホルマリンで不活化したワクチンが実用化されている。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 感染経路は主に汚染された食品(食中毒)ですが、潜伏期間が2から6週間と長いため、原因食品を特定できないことも多いです。本邦では充分に加熱されていないカキに多いと言われています。流行地域への渡航、特にその地域での生食、生水の摂取はリスクとなります。ウイルスは便中に排泄され、感染者の便も感染の原因になります。発熱、頭痛、筋肉痛、腹痛、倦怠感などの症状に続き、肝障害、黄疸が出現します。急性期には入院して安静が必要になりますが、乳幼児期は症状が軽く、自覚症状がないこともあり、成人では症状が重くなる傾向にあります。1から2ヶ月程度で改善します。B型肝炎、C型肝炎のように慢性化することはありませんが、まれに劇症化することがありますので、慎重な経過観察が必要です。
 特異的な治療法はなく、対症療法がメインとなります。
 流行地位へ渡航する際にはワクチンの接種が勧められています。家族に感染者がいるなど即座に感染するリスクが大きい場合、また、急な出張でワクチンのスケジュールを完了できない場合などに免疫グロブリンの接種を行うことができますが、保険適応外で、即効性がありますが効果は3ヶ月程度だと言われています。

 まとめ:A型肝炎は主に食品から感染する食中毒の原因のひとつで、流行地域へ渡航する際にはワクチンの接種が勧められている。

E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus):

 へぺウイルスとして独立して分類されている。A型肝炎と同様に急性肝炎のみを起こすが、A型肝炎に比べて臨床像はやや重症である。日本土着のウイルスがあること、およびブタからのウイルス分離が最近になり報告されている。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 主に熱帯地方の発展途上国で流行が見られますが、本邦では豚レバーから1.9%の確率で本ウイルスが検出され、また、シカ肉からの感染も報告されています。感染者の便からもウイルスが排泄されます。潜伏期間は2から9週間で、強い黄疸が急激に出現し、2週間程度続いたのち、1ヶ月程度の経過で治っていきます。妊婦、特に妊娠第3期に感染すると重症化しやすく、劇症肝炎になると致死率は20%にもおよぶと言われています。生食は他の感染症のリスクもあり、妊婦の方は注意が必要です。ウイルスはエンベロープを持っていません。
 特異的な治療法はなく、対症療法がメインになります。

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