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アデノウイルス

 二本鎖DNAをゲノムとして持つアデノウイルス科のウイルス。ヒトアデノウイルスには少なくとも51の血清型があり、A~Fの6亜群に分類される。ウイルス感染に際しては、ウイルスの吸着にはコクサッキー・アデノウイルス受容体が、ウイルスの侵入にはインテグリンが関与する。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 アデノウイルスには51種類の血清型があり、乳幼児から学童にかけて、多くは5から7日の潜伏期間のあと、下記の症状を引き起こします。

・咽頭扁桃炎
 主にアデノウイルス1から6型が原因になります。のどの腫れと迅速検査にて診断されます。39度以上の高熱が出ることもまれでなく、発熱は平均5日程度ですが、7日以上続くこともあります。経験的には発熱以外に強い症状がなく、全身状態は比較的良好なことが多いです。炎症反応が高く上がることがあるので、細菌感染症との鑑別が問題となります。
・咽頭結膜熱(プール熱)
 のどと目の両方に症状を引き起こすタイプで、主にアデノウイルス1から6型が原因になります。のどと目の症状はどちらが先に出ることもあります。発熱は平均5日程度でしばしば高熱となり、目の症状はふつう片側から出現し、数日後に反対に及びます。学校感染症の第2種に指定されていて、主な症状が消失してから2日間は登校できません。
・流行性角結膜炎
 アデノウイルス8、11、19、37型などが目に症状を起こしてきますが、8型は特に症状が強く、発症から7日以降で症状がピークに達し、治療に2週間以上かかることもあります。流行性角結膜炎は学校感染症の第3種に指定されていて、流行性角結膜炎と診断された場合は症状が改善するまで登校できません。症状が強い場合には眼科の受診を勧めさせて頂くことがあります。
・急性胃腸炎
 主にアデノウイルス40、41型が急性胃腸炎の原因になります。一般にはノロウイルスやロタウイルスよりも症状は軽いと言われます。まれに3型が急性胃腸炎に引き続いて腸重積を生じることがあるので注意が必要です。
・出血性膀胱炎
 アデノウイルス11型が原因になります。突然の血尿で発症し、排尿時痛を伴うことがあります。2、3日程度で見た目の赤みはなくなり、顕微鏡でも1週間程度で血尿が消失します。膿尿は通常認めません。排尿時痛がなかったり、症状が長引く場合は出血性膀胱炎ではなく、腎炎の可能性もありますので、症状の程度に応じて加療方針を検討させて頂きます。

 他、まれですが7型が肺炎などの重症感染症を引き起こすことがあります。迅速検査でアデノウイルスが証明されており、かつ咳などの症状が強く肺炎の合併が疑われる場合には病院の受診を勧めさせて頂きます。アデノウイルスには特異的治療法がなく、これらの症状には対症療法がメインとなります。

 環境中で1か月以上の生存が可能だと言われています。

 まとめ:アデノウイルスは種類によって症状がことなり、咽頭結膜熱(プール熱)や流行性角結膜炎は出席停止が必要となる。

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