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​ヒトライノウイルス

 ピコルナウイルス科ライノウイルス属は、一本鎖状RNAをゲノムとする小型の球状ウイルスで、エンベロープを持たない。
(医学書院 医学大辞典)

 かぜ症候群の原因の中でもっとも多くを占めるウイルスです。rhinoはギリシャ語で鼻を意味する言葉からきており、主に鼻かぜを引き起こすためにそう呼ばれています。100以上の血清型(恐らくもっとある)が存在するため、ワクチンの開発は進んでいません。
 潜伏期間は2~4日。主な症状は鼻汁、咳、咽の痛みです。

 ヒトライノウイルスは、喘息発作の半数以上に関与していると言われているため、喘息のあるお子さんでは特に重要な病原体と言えます。白血球を組織に導くために、血管内皮にICAM-1という接着分子が発現しますが、それはライノウイルスの標的分子でもあります。マクロライド系抗菌薬(14員環のもの)はそのICAM-1の発現を抑制する作用が知られており、ライノウイルスの増殖を抑制すると言われています。そのため、ウイルス感染症を疑っても、喘鳴のあるお子さんにはマクロライド系抗菌薬が処方されることがあります。

 ライノウイルスは平らな表面では3時間、衣類などの凹凸の大きい表面では1時間生存できると言われています。

 まとめ:ライノウイルスはいわゆるかぜの主な原因であるとともに、喘息発作の引き金となる。

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