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感染症 - メニューへ戻る

横川吸虫

 横川定により発見され、桂田富士郎により記載された後澤吸虫上科、異形吸虫科に属する体長1~1.5㎜の小腸に寄生する人体寄生性の吸虫である。終宿主はヒトのほかイヌ、ネコ、ネズミなどの哺乳類や鳥類である。日本のほか韓国、台湾、東南アジア、シベリアに分布している。腹吸盤と生殖吸盤が融合した生殖腹吸盤装置を体右側に有するのが特徴である。卵は30×18μmと小型であり、卵蓋を有するが、肝吸虫のように接合部の突出や卵殻表面の亀甲状紋理はない。生活史は卵が第一中間宿主のカワニナに食されるとスポロシスト、レジアを経てセルカリアとなり遊出し、第二中間宿主のアユ、シラウオ、ウグイなどの淡水魚中でメタセルカリアとなり、これらを生食することにより感染する。多数寄生にて下痢、腹痛を起こす。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 横川吸虫は本邦でもっとも感染者数の多い寄生虫のひとつです。淡水魚の生食によって感染しますが、ほとんどの人は無症状で深刻な症状を起こすことが少ないため、感染予防の具体的な対策などは行われていません。便検査で偶然虫卵が見つかって感染に気付くことが多いです。アユの汚染率は高率で、特に夏場は100%に達する地域も報告されています。シラウオは地域によって感染率に差が見られます。成虫の寿命は1から3年だと考えられています。加熱によって死滅しますが、淡水魚の塩焼きなどでは不充分に加熱された部分に虫体が生存していたり、まな板に付着していたものが他の食材に付いて感染することもあります。パーシャルチルド3日間でも感染性が失われます。抗寄生虫薬によって治療します。

 まとめ:横川吸虫はもっとも感染者数の多い寄生虫のひとつである。食品を加熱、冷凍することによって予防できる。

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