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感染症 - メニューへ戻る

日本海裂頭条虫

 飯島魁が利根川産マス寄生幼虫を報告して以来、最近まで北欧原産の広節裂頭条虫として取り扱われてきたが、北欧フィンランドとの共同研究により別種であることが明らかになり、日本海裂頭条虫と新種命名された条虫。感染源はサクラマス、カラフトマスで、その筋肉に寄生しているプレロセルコイドを刺身、マス寿司などから摂取し感染する。成虫は、全長1m~10m、白色キシメン状。症状は、腹痛、食欲不振、下痢などの消化器症状が主である。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 日本海裂頭条虫症は国内全域で見られる寄生虫感染症で、もっとも頻度の高いもののひとつです。成虫は大型ですが組織に侵入することがないため、症状はまったくないかあっても軽いことが多く、便をしたときにその虫体の一部が排泄されて初めて気付くことがあります。一隻(数は1隻、2隻と数えます)の感染が多いですが、まれに2隻以上の感染が見られます。第一中間宿主はケンミジンコ、第二中間宿主はサケ属の魚(サクラマス、カラフトマス)で、マスへの寄生率は3割以上に達するとする報告もあります。ヒトやクマが終宿主となり、これらの魚の摂食により感染します。虫体はヒトに感染すると小腸に定着し、1日に5から20cmずつ成長、約1か月程度で成熟して排卵するようになります。成虫は治療をしなければは20年以上生存する可能性が考えられています。魚は燻製にしても虫体を殺すことはできず、塩漬けは感染性を低下させますが不確実です。食品の加熱、もしくは-20℃で24時間の冷凍によって死滅します。抗寄生虫薬(プラジカンテル)と緩下剤によって治療します。

 まとめ:日本海裂頭条虫は比較的感染者数の多い寄生虫のひとつである。食品をよく加熱する、もしくは冷凍することによって予防できる。

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