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ランブル鞭毛虫

 ランブル鞭毛虫は世界に広く分布し、特に熱帯、亜熱帯の衛生環境の悪い国での住民の感染率は高い。本原虫は十二指腸、小腸上部に寄生するが、特に胆道、胆嚢内にも侵入する。感染は嚢子の経口感染による。発症率は高くなく、ほとんどの感染者は無症候性キャリアとなる。発症する場合の主症状は下痢、腹痛、鼓腸、倦怠感、悪心、食欲不振など多彩である。潜伏期間は通常1~3週間で、下痢も難便、水様便から悪臭泡沫状の泥状便まで種々で長期化すれば吸収不良の原因となる。時に胆嚢炎をみることもある。わが国では輸入例が多く、旅行者下痢症の代表的なものの1つである。
(医学書院 医学大辞典)

 ジアルジア症の感染者は世界で数億人と試算されるありふれた原虫感染症です。本邦では戦後の混乱期では感染率が3から6%であったとの記録がありますが、以後、衛生環境が改善され、都市部での検出率は0.5%を下回っているとされています。頻度ではインド亜大陸からの帰国者に多く、また、アメリカではビーバーの生息する水系で汚染が見られることがあり、ビーバー熱の別名があります。本邦では報告される患者の半数以上は海外での感染(旅行者下痢症)です。原因はジアルジア・ランブリア(ランブル鞭毛虫、ジアルジア・インテスティナリス、ジアルジア・デュオデナリスとも呼ばれる)で、潜伏期間はふつう1から2週間(もっと長い場合もあります)で、難便、下痢、吐き気、倦怠感、微熱といった症状を示します。免疫力が正常な人では2から6週間程度症状が続きます。一方で、感染しても何も症状がない(不顕性感染)人もいます。ジアルジア・に感染している人は1日に1億個以上のシストを便中に排泄しており、周囲への感染の原因となります。シストは環境への抵抗性があり、冷たい水の中では数ヶ月以上、河川や海水中でも1、2か月程度生存できます。シストは通常の浄水処理では除去困難とされています。抗寄生虫薬によって治療します。

 まとめ:ランブル鞭毛虫はジアルジア症の原因となる。衛生環境の悪い場所では水遊びをしない、よく加熱した食品を摂取することで予防できる。

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