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カンジダ

 クリプトコッカス科の酵母様不完全菌の一属。Candida albicans(カンジダ・アルビカンス)は代表的な菌種。普通、ヒトの皮膚、口腔、消化管、膣の細菌叢の一部を形成している。生育の条件により、酵母形式となったり菌糸状になる。胞子は単細胞で、出芽によって増殖する。免疫力の低下や細菌叢のバランスの崩壊で、カンジダ症、爪真菌症、白癬、膣炎、鵞口瘡などの原因菌となる。
(医学書院 医学大辞典)

 カンジダは環境中のいたることろに存在している酵母で、ヒトの皮膚、粘膜にも害を与えることなく普通に生息しています。ヒトにカンジダ症を引きおこすものの多くはカンジダ・アルビカンスで、カンジダの増殖に適した温度、湿度、宿主の防御機能の障害などが重なることによって発症します。小児で問題となるのは先天性カンジダ症、おむつの内側に生じるカンジダ性間擦疹である乳児寄生菌性紅斑、口腔カンジダ症(鵞口瘡)、カンジダ性口角炎です。
 カンジダ属は下記のような症状を引きおこします。
・先天性カンジダ症
 カンジダ・アルビカンスは妊婦の膣の2割程度から検出され、分娩時に母親から伝播されますが、時に子宮内で感染し先天性カンジダ症を発症することがあります。先天性カンジダ症は皮膚、粘膜のみに病変がある先天性皮膚カンジダ症、カンジダ血症や内臓病変まで認める先天性全身性カンジダ症があり、後者は主に未熟児で生じ、より重篤です。皮膚症状は特徴的で、全身に赤い小さな丘疹、膿疱、びらんなどが認められますが、皮膚症状のみの場合は全身状態は比較的良好に保たれます。カンジダは正常羊膜も通過できることが示唆されており、母体の膣カンジダ症は分娩前までに完治させておくことが推奨されています。先天性カンジダ症を認めた場合はNICUで集中的に治療を行います。
・乳児寄生菌性紅斑
 乳幼児におむつの内側に生じる皮膚のカンジダ感染症で、赤みのある丘疹が多発します。肛門から陰部にかけてのくびれに生じることが多く、進行すると病変部のただれが目立つようになり、周辺にも衛星状に丘疹が出現します。抗真菌薬の外用が必要です。
・口腔カンジダ症(鵞口瘡)
 口の中、舌の表面のカンジダによる感染症です。白色、灰白色で、あたかもミルクカスが付着しているように見えますが、はがそうとしてもはがれず、無理に取ろうとすると出血することがあります。時間が経てば自然と治癒しますで通常治療は必要ありませんが、哺乳量が落ちるなどの症状があるようなら抗真菌薬の外用を行うことがあります。
・口角炎
 口角炎は唇の両端があれ、ひびわれやかさぶたを生じている状態です。口をあけると痛みを感じることがあります。免疫の乱れやビタミンの不足などによって口腔内のカンジダが増殖して発症すると考えられていますので、当科では口角炎に対し抗真菌薬の外用薬を処方いたします。口角炎のある部位だけでなく、口の中全体にしっかり塗りつけるのが早く治すこつです。

 まとめ:カンジダはヒトの常在真菌だが、時に先天性カンジダ症や、皮膚や粘膜の感染症を生じることがある。抗真菌薬によって治療する。

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