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感染症 - メニューへ戻る

アニサキス

 アニサキス症の原因となるアニサキス亜科に属する一群の線虫。成虫はイルカやクジラなどの海棲哺乳類の胃壁に頭部を穿入して寄生する。虫卵は糞便とともに海中に放出されると孵化し、中間宿主のオキアミ類を経て、サバ、アジ、タラ、サケやイカなどの魚介類に摂取される。ここで感染幼虫となって魚介類の内臓表面や筋肉内にコイル状に被嚢して寄生する。幼虫は白色、体長20~30mm、体幅0.4~0.6mmの小線虫。ヒトが魚介類を生食した際に幼虫がヒトの胃壁や腸壁に穿入して激しい腹痛を起こす。
(医学書院 医学大辞典)

 哺乳動物に寄生する回虫目に属する寄生虫は、陸棲の場合は回虫科、水棲の場合はアニサキス科に分類されます。アニサキス症、およびシュードテラノバ症を引きおこすものは、主にアニサキス・シンプレックス、アニサキス・フィセテリス、シュードテラノバ・デシピエンスの幼虫で、150種類以上の魚種、イカに寄生していることが知られています。胃アニサキス症の場合は、原因食品の摂取後およそ2から8時間で上腹部に差し込むような痛みが出現、持続し、吐き気、嘔吐、時に下痢、蕁麻疹、吐血をきたすことがあります。時にアニサキスに対するアレルギー反応のために胃の攣縮などをきたし、激烈な痛みがおきることもあります。腸アニサキス症は原因食品を摂取して数時間から数日してへそのあたりや下腹部に痛みが出現、吐き気や嘔吐を認めることもあります。胃アニサキス症の場合は発症までが早いため病歴から明らかであることが多く、上部消化管内視鏡検査にて虫体を確認、診断にいたることができますが、腸アニサキス症では発症まで数日あくこともあり、原因不明の急性腹症として盲腸や腸閉塞を疑われ、開腹手術をして初めて原因が特定されることもあります。アニサキス症、およびシュードテラノバ症に有効な薬剤はいまのところなく、診断が確定されれば摘出、摘出が不能な場合は3日程度で自然と虫体は死滅し症状は軽快しますので、それまで対症療法を行います。アニサキス、シュードテラノバは加熱とともに低温にも弱く、いったん冷凍処理されたものを解凍して調理された場合は死滅しており、ふつう問題となりません。

​ まとめ:アニサキス、シュードテラノバは時に魚、イカの食中毒の原因となる。摘出、もしくは対症療法を行う。

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