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アカントアメーバ

 淡水、海水、土壌、空気中など広く自然界に生息し自由生活を営んでいるため、自由生活アメーバと呼ばれる原生動物の一種である。アカントアメーバ・カステラーニ、アカントアメーバ・ポリファーガ、アカントアメーバ・カルバートソニなどいくつかの種類がある。環境が悪くなると嚢子に変化し、やがて栄養型に戻るライフサイクルをもつ。
(医学書院 医学大辞典 一部省略・改変)

 アカントアメーバは環境のいたるところに存在しているアメーバ型の原虫です。アカントアメーバがヒトに感染することは従来まれなことでしたが、コンタクトレンズの不適切なケアによってアカントアメーバによるアメーバ性角膜炎が引きおこされることが広く認識されるようになりました。アメーバ性角膜炎は感染性角膜炎の中でもっとも重症で、有効な治療法に乏しく、角膜を削ってアメーバを取り除く治療を数ヶ月にわたって続けなければならないこともあります。根治したとしても視力に障害が残ることも多いです。日本コンタクトレンズ学会のホームページには下記のように記載されています。
1.コンタクトレンズを使用する際には、眼科専門医の処方と指導を受け、定期的に検査を受ける。
2.手を十分に石けんで洗ってからコンタクトレンズを取り扱う。
3.コンタクトレンズをはずした後に、必ずこすり洗いを行い、十分にすすぐ。
4.レンズケースは毎日しっかり洗い、自然乾燥させる。
5.レンズケース内の消毒液は毎日新しいものに交換する。
6.レンズケースを定期的に新しいものに交換する。
7.レンズケア用品は開封後すみやかに使う(長期間の使用は危険である)。
8.コンタクトレンズ、レンズケア用品は清潔な場所に保管する。
9.コンタクトレンズのすすぎは、こすり洗いの後だけではなく、装用直前にもう一度、レンズケースから取り出した後に、十分量のMPSあるいは保存液(すすぎ液)ですすぐ。
 特に2、3はアカントアメーバそのもの、またはその栄養源である細菌など他の微生物を物理的に洗い流すために重要で、こすり洗いは20回以上が適切だと言われています。ケースは3ヶ月毎の交換が推奨されているようです。コンタクトレンズの洗浄液、保存液はいずれも適正に使用されて初めて有効に機能します。また、免疫力が低下している人では、コンタクトレンズの使用の有無にかかわらず角膜炎をおこすことがあります。

まとめ:アカントアメーバは角膜炎の原因になることがある。コンタクトレンズのケアを適切に行うことによって予防できる。

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