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肺炎球菌

 グラム陽性球菌である連鎖球菌の一種。上気道の常在菌として検出されることがあるが、大葉性肺炎などの呼吸器感染症や、副鼻腔炎などの耳鼻科感染症、髄膜炎などの原因菌となる。病原性の有無は、莢膜のもつ特異的可溶性物質の産生に関係する。この物質は、血液寒天培地ではα溶血を示す。治療には従来ペニシリンが常用されていたが、近年ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)が分離されるようになった。PRSPにはペニシリン系だけでなく、セフェム系、マクロライド系抗菌薬にも耐性を示す株が多い。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 肺炎球菌は乳幼児の鼻やのどに普通に存在している常在菌のひとつですが、肺炎、敗血症、髄膜炎といった重症感染症の原因となる強毒菌で、その感染症によって世界で毎年多くの子どもたちが命を落としています。現在90種類以上の血清型が知られており、その血清型は莢膜ポリサッカライドによって決定されます。血清型分類はワクチンの開発に利用されています。
 肺炎球菌は下記のような感染症を引きおこします。
・急性中耳炎
 もっとも一般的な症状は、風邪に合併する急性中耳炎です。急性中耳炎については他項に書きます。
・肺炎
 肺炎球菌は生後3週間から5歳までの細菌性肺炎の主な原因のひとつです。抗菌薬での治療が必要です。肺炎については他項に書きます。
・細菌性髄膜炎
 肺炎球菌は、インフルエンザ菌とともに、生後3ヶ月以降の細菌性髄膜炎の主要な原因です。細菌性髄膜炎は無治療では全例が死亡、治療を行っても後遺症が残ることがまれではない重篤な感染症です。細菌性髄膜炎については他項に書きます。肺炎球菌ワクチンは主にこの細菌性髄膜炎を予防することを目的としています。ワクチンについては他項に書きます。

 肺炎球菌は高校で習う"グリフィスの実験"で、転換要素(DNAのこと)の発見に使用された細菌です。

 まとめ:肺炎球菌は急性中耳炎、肺炎の他に細菌性髄膜炎の主な原因となる。ワクチンでの予防が行われている。

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