top of page
感染症 - メニューへ戻る

インフルエンザ菌

 ヘモフィルス属のグラム陰性の桿菌。莢膜を有するS型菌の病原性が強い。小児では化膿性髄膜炎を多く発症させ、敗血症や閉塞性喉頭炎などの重篤な感染も続発させる。莢膜を持たない菌株は中耳炎、副鼻腔炎などの慢性感染症の原因となる。
(医学書院 医学大辞典 一部省略)

 かつてのインフルエンザの流行の際に初めて分離され、当初は原因菌だと思われていたため、インフルエンザ菌という名前が現在でも使われています。インフルエンザ菌は莢膜を持つもの(有莢膜型)と莢膜を持たないもの(非莢膜型)がありますが、有莢膜型はさらにaからfの血清型に分類されます。非莢膜型は主に乳幼児の鼻やのどにふつうに存在している常在菌で、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などを起こしますが、有莢膜型の特に血清型b(Hib:ヒブ)は、敗血症、髄膜炎、急性喉頭蓋炎など重症の感染症からの分離頻度が高いことが知られています。Hibが重症感染症を引きおこしやすい理由は、はっきりとは分かっていません。
 インフルエンザ菌は下記のような感染症を引きおこします。
・急性中耳炎
 インフルエンザ菌は急性中耳炎の原因になります。急性中耳炎については他項に書きます。
・肺炎
 インフルエンザ菌は生後4ヶ月から5歳までの細菌性肺炎の主な原因のひとつです。抗菌薬での治療が必要です。肺炎については他項に書きます。
・急性喉頭蓋炎
 急性喉頭蓋炎は感染症の中でももっとも緊急性の高いもののひとつで、診断が遅れれば命にかかわることもまれではありません。クループに似た症状で発症しますがより重篤で、急速に症状が進行します。急性喉頭蓋炎の可能性のある症状であれば、すぐに病院へご紹介させて頂きます。急性喉頭蓋炎の原因はほとんどがHibであり、ワクチンによって低年齢での患者数がの減少が期待されています。急性喉頭蓋炎については他項で書きます。
・細菌性髄膜炎
 インフルエンザ菌は、肺炎球菌とともに、生後3ヶ月以降の細菌性髄膜炎の主要な原因です。細菌性髄膜炎は無治療では全例が死亡、治療を行っても後遺症が残ることがまれではない重篤な感染症です。細菌性髄膜炎については他項に書きます。Hibワクチンは主にこの細菌性髄膜炎を予防することを目的としています。ワクチンについては他項に書きます。

 まとめ:インフルエンザ菌は急性中耳炎、肺炎の他に、急性喉頭蓋炎、細菌性髄膜炎の主な原因となる。ワクチンでの予防が行われている。

bottom of page