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麻疹(はしか)

 麻疹(はしか)は接触感染、飛沫感染、空気感染で広がり、基本再生産数(ひとりの感染者が周囲の免疫を持たない人に感染させる人数)16から21(インフルエンザが2から3と言われています)と非常に感染が広がりやすい感染症です。潜伏期間は10から12日で、咳や鼻汁、結膜炎、発熱といった症状で発症、それが3から4日続いた後、半日ほど体温の低い時期があり、その後再び高熱とともに発疹が出現するという特徴的な経過をとります。発疹が出現する1から2日前に、口の中の頬粘膜に白色の小さな斑点(コプリック斑)が出現し、診断の大きな手がかりとなります。発疹は耳後部から始まり、顔面、体、手足に広がります。最初は鮮やかな赤色で平らですが、融合して隆起し、暗赤色へと変化していきます。発疹が出始めて3から4日で解熱傾向となり、合併症がなければ全体で7から10日の経過で終息します。発疹は色が薄くなってからもしばらく残ります。
 中耳炎が7%に、肺炎が6%に見られると言われています。肺炎は細菌の2次感染のこともあります。脳炎は発疹出現後2から6日目に多く、死亡率が高く、麻疹罹患者の5000~1万人にひとりが合併すると言われています。他に、亜急性硬化性全脳炎という重い遅発性の合併症が知られており、麻疹罹患者の10万人にひとりが発症すると言われています。
 ワクチン接種が行き届いている現在ではまれな病気になりましたが、それでも毎年感染者が発生しており、多くは乳幼児、患者の95%はワクチン未接者となっています。1歳の誕生日を迎えたらできるだけ早くワクチン接種を受けて下さい。ワクチンを接種した場合にも麻疹にかかることがあり、その場合には発熱の期間が短い、発疹が典型的でない、コプリック斑が出ないといったことがあり、修飾麻疹と呼ばれています。重症化することは少ないと言われていますが、経過がふつうとはことなるため診断は難しくなります。麻疹に特異的な治療法はなく、対症療法がメインとなります。麻疹に対して免疫のない者が麻疹患者と接触した場合、72時間以内であればワクチンの接種で発症を予防できる可能性があります。
 麻疹は免疫力を低下させると言われており、発症した場合には症状が改善してから4週間はワクチンの接種を見合わせましょう。また、学校感染症の第2種に指定されており、解熱して3日たつまで通園・登校は認められません。

 まとめ:麻疹は重い合併症をきたしやすい重篤な感染症だが、ワクチンで予防できる。

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