top of page
感染症 - メニューへ戻る

伝染性紅斑(りんご病)

 伝染性紅斑(りんご病)の一般的な感染は小児期、特に5歳から9歳に多く見られます。年明けから夏にかけてが多いですが、流行が小さい年には季節性がはっきりしないことがあります。原因はパルボウイルスB19で、数日から3週間程度の潜伏期間ののち、頬に紅い斑状丘疹が出現、融合し、両頬に蝶の羽の形のような紅斑を形成します。その後、腕とふとももに赤い発疹が出現、次第にレースの網目のようになり(レース状皮疹)、数日で消退します。胸やお腹、背中にも時に発疹が出現することがあります。これらの発疹は時にかゆみを伴い、長引くことがあります。また、一度消えた発疹が日光や入浴時など体が温まったときに再び出現することがあります。また、血管内皮細胞の直接障害で紫斑が見られることがあります。発疹が出現する数日前に微熱や風邪のような症状を起こすことがあり、パルボウイルスB19はその時期に飛沫によって他者に感染しますが、症状は軽く気付かれないこともあります。発疹が出現する頃には感染力はほとんど消失しますので、伝染性紅斑で通園・登校が禁止にされることはありません。時に関節炎を起こすことがあり、比較的年齢の高い女児に多いとされています。関節炎は手、肘、足関節に左右対称に見られ、2から4週間で改善します。感染しても症状がまったく見られないこともあります(不顕性感染)が、成人では一般的に症状は重く、発熱がしばしば見られ、関節の痛みで1、2日歩きづらくなることがあります。発疹も典型的でなく、風疹とよく似た比較的大きな発疹が全身に出現することもあります。
 発疹や関節炎は体の免疫反応によって生じますが、ウイルスによる赤血球系への直接障害で重い合併症が出現することがあります。遺伝性球状赤血球症などの溶血性疾患の方に感染した場合、強い貧血をきたす無形成発作を生じることがあります。これは、一時的な赤血球の産生停止でたやすく貧血が進行してしまうためです。また、妊婦に感染すると胎児に非免疫性胎児水腫を引きおこすことが知られています。妊娠前半の感染の方がよりリスクが高いと考えられていますが、多くはパルボウイルスB19に感染しても経過に問題はなく、出生後も正常発育が見られます。産科医による胎児の慎重な経過観察を受けてください。その他の合併症として血小板減少、血球貪食症候群などが知られています。

 まとめ:りんご病は軽症で済むことが多いが、時に重篤な合併症を起こすことがあり、妊婦は特に注意が必要である。

bottom of page