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かぜ(かぜ症候群)

 かぜ症候群とは、上気道粘膜のカタル性炎症の総称であるが、病変は下気道に波及することがある。原因は感染によることが最も多く、寒冷などの物理化学的刺激、アレルギーなどもあるが、ほとんどはウイルスによる感染症である。軽い鼻症状の普通感冒から、全身症状の強いインフルエンザまでさまざまである。
(同義語:上気道症候群、急性上気道炎)(医学書院 医学大辞典)

 かぜの原因は多様であり、症状も一様ではありませんので、様々な疾患の集合体を意味する症候群という言い方をするのが本来は適切です。しかし、診察室で「あなたのお子さんは、風邪症候群ですね」と言われても違和感しか感じないでしょうし、私たちも”かぜ”と表現します。普通感冒とは、小児呼吸器感染症ガイドライン2011では、「鼻汁と鼻閉が主症状のウイルス性疾患で、筋肉痛などの全身症状がなく、熱はないか、あっても軽度なものを指す。鼻炎といわれるが、より正確にはrhinosinusitis(鼻副鼻腔炎)である」と定義されています。軽度の発熱とは、概ね38.5℃未満と解釈される、とあります。かぜ症候群は上気道の炎症の総称ですので、扁桃・咽頭炎、クループ症候群も含まれます。

 症状は熱、咳、鼻汁、のどの痛みが主なもので、それらは病原性微生物に対する生体の防御反応です。病原体が体内から排除されれば、多くは無治療でも完全に治癒します。気道粘膜修復薬などの内服があれば、治癒を助け、中耳や副鼻腔の細菌感染を合併する頻度を下げられます。解熱薬を使用しても治癒するまでの期間は変わらないことが様々な研究で証明されていますので、当院では食欲が落ちる、眠れないなどがあれば積極的に解熱薬を使用するようにお話ししています。葛根湯などの漢方を使用する場合は、解熱薬の使用は発症から1日、2日待っていただくことがあります。
 明確に原因となる病原体が特定できた場合は、例えばインフルエンザ、溶連菌扁桃炎などと呼びますが、インフルエンザもかぜであり、細菌感染症である溶連菌扁桃炎も、のどのかぜと説明することがあります。急性喉頭蓋炎やジフテリア喉頭炎(真性クループ)は重篤ですので、かぜとは呼びません。下気道感染ではありますが、気管支炎程度であればかぜと称することもありますし、少しこじれたかぜと表現することもあります。また、上気道の炎症ではありませんが、耳下腺などの唾液腺が腫れるムンプスウイルス感染症はおたふく”かぜ”と呼ばれます。急性胃腸炎をおなかの”かぜ”と言うこともあります。

 つまり、かぜとは、万人がなり得る一般的な感染症という風に扱われているのです。

 まとめ:かぜ(かぜ症候群)とは、通常はウイルスによる上気道感染症を意味する。

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